会社から社員への貸付時は利息を取らなくてはいけないのか?

「うちの会社は銀行ではないのだから、役員や従業員にお金を貸してもから利息は取るつもりがない」

そういった考えは経営者として素晴らしいと感じます。ただ、会社から社員(役員や従業員など)にお金を貸した場合には利率について税務上注意が必要で税理士としては見過ごせないポイント。

そこで今回の記事では会社から社員にお金を貸し付ける場合の利息の決め方についてご説明していきます。

社員への貸付利率が低いと税金が増える

ご覧いただきありがとうございます。荻窪の税理士・公認会計士の守屋冬樹です。

会社から社員への貸付けについて、「無利息でもかまわないのでは?」と考えてしまいがちです。ただし、会社はあくまで営利を目的として運営している前提で社長個人のポケットマネーのように自由に貸してしまう訳にはいかないのが実情です。法人税の取扱いとしては、たとえ社員に対しての貸付けであっても基本的に利息は取らないといけません。

例えば役員である社長が会社から貸付けを受けた場合には

本来会社に支払われるべきであった利息は益金として計上。その金額は役員に対する給与、もしくは賞与として扱われることになります。

特に注意が必要となるのが、多くの会社では役員は毎月同額で役員報酬を設定しておかないと法人税としては損金として認められない点です。

会社は法人税の所得もれとなりますし、社長個人としても所得税の所得もれ、修正申告をしないといけなくなります。たとえ社員を助けるつもりで低利率の貸付けをしたとしても結果的に会社、社員のそれぞれの修正申告が必要となり、過少申告加算税、延滞税や重加算税を負担することも起こりえてしまうのです。

給与課税されない利率の決め方

以降であげる利率で計算した利息と実際に会社が受け取る利息との差額が、賞与もしくは給与として処理されます。
そのため、社員への貸付けは次の利率を参考に決めていただくようにとアナウンスしています。

  1. 原則的な利率の決め方
  2. 特別な事情がある場合

原則的な利率の決め方

  1. 会社が貸付け用に借入をした場合・・・・・・借入金の利率
  2. その他の場合・・・・・・貸付けを行った年によって利率が決定。
期間(1月1日〜12月31日)年利
2019年1.60%
2018年1.60%
2017年1.70%
2015年〜16年1.80%
2014年1.90%
2010年〜13年4.30%
2009年4.50%
2008年4.70%

なお、年によって利率が異なるのは、延滞税の計算にも使われる特例基準割合をもとに決定されているためです。

特例基準割合は銀行が新規に融資をする際の短期貸出時の利率をベースに年1%を加算して計算されており、会社が社員への貸付けを安易に行わせないように銀行よりも高い利率とされているのかと。

特別な事情がある場合は低利率・無利息も認められる

ただし次の条件いずれかであれば上記の利率に関わらず利息を決めることが認められます。

  1. 災害や病気などで多額の生活資金が必要で、その資金に充てる目的であり、金額や返済期間も合理的な場合
  2. 会社の借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によっている場合
  3. 上記2つ以外の貸付金の場合で、原則的な利率で計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が1年間で5,000円以下である場合

災害や病気のケースが該当する際には、従業員の生活に直結するケースということもあって無利息とすることも認められるのは助かる方も多いのではないでしょうか。

役員貸付金は銀行融資の申込時に印象が良くない

税務面からは外れますが金融機関に融資の申込みをする際には会社の決算書に貸付金があると不利となりかねない点も注意が必要です。

それは融資をする側としても会社に貸付金があれば融資をしても事業活動以外に使われる恐れがあるのでは?という疑いを持たれてしまうため。

もし、その貸付金が社長へのものであれば税務上は問題とならなくても、融資の面談では会社の資金を私的に流用していると判断されるでしょうし、社員向けの貸付金であったとしても本当に回収できるお金なのか?探られるはずです。

会社から貸付では税務上だけでなく融資への影響も生じかねないという点も気をつけておきましょう。

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